地味に継続して見てます、白い砂のアクアトープ。
これ実は2クール作品だったんですね。
前半は、閉館寸前のがまがま水族館を中心に、
館長の孫娘である女子校生海咲野くくるが
アイドルに挫折した宮沢風花を巻き込んで館の立て直しに奮闘する話
後半は、舞台を大型水族館ティンガーラに移し、
好きな職業の会社で働くと言う事の光と闇、
そして数の増えて複雑になった人間関係を描いている。
個人的には、前半のがまがま水族館編は
よくある雰囲気物の作品かな?と思って居ましたけど
後半のティンガーラ編ががあるとわかってからは
ここからが本編なんだな、と思い
同じく会社で働くものとしては、面白みがあります。
ストーリー物のお仕事系のアニメは好きですね。
子供だった主人公が、仕事を通して情熱を失わずに邁進している姿を見ると
なんだか泣けてきますよ。
モチベーションはどこからくるのだろう
今回は、真栄田朱里というキャラの内面を中心に
仕事のモチベーションとか
やりたい仕事とかって何なのか
という事を描いていました。
ていうかこのキャラ、職員じゃなかったんですね 笑
特にやりたい事でもないけど、家から近いからという理由で
水族館事務員としてバイトをしているんです。
館内イベントの企画をテキトーに書いたら、それが通ってしまい
くくるに、企画した朱里がイベントを主導した方がいいと思うと強く訴えられます。
「自分の企画を実現させるのは大変だけど、
やってみると苦労なんて吹っ飛んで、やってよかったって思うんです」
それに対して人当たりのいい口調で
「私バイトですし、進んでやりたい訳ではないので気にしないでください。
くくるさんみたいに水族館大好き人間でもないですし」と
とやんわりと断って帰ってしまう。
それを聞いて、「ふえっ?」と言ってしまうくくるは
ここに勤めている人間はみんなやりたくてやっているもんだと思っていたのだろう。
数話前で知夢さんに「私の仕事を取らないで!」と言われた件もあるし。
やりたい仕事の光と影
その後、朱里は同じくティンガーラ職員の久高 夏凛に誘われて
照屋 月美、通称うどんちゃんが修行しているOHANAで食事をする。
朱里は
「私は皆さんみたいに好きなこともないし
特にやりたい仕事もないんです」
と語り、楽しそうに仕事をしているうどんちゃんをチラと見る。
その際にわかったけど、
うどんちゃんってなんでこのアニメにいるんだろう?って思ってたけど
この子は、もう一人のくくるなんですね。
性格もよく似ている。
だから、がまがま水族館編でも実家の定食屋「カメー」で働いてたし、
ティンガーラ編では、カフェ「OHANA」で修業しているし。
おそらく、うどんちゃんの最終的な目標は自営業で独立して自分の店を持つことなんじゃないのだろうか。
それに対し、くくるは水族館というたくさんの生き物を飼育したいという、どうしたって自分ひとりでは成り立たない会社ありきなのだ。
自営業と会社員、もしくは
ひとりでもできる仕事と、みんなと協力しないとできない仕事
立ち位置が違うんだけど働くという同一線上の対比として
彼女、うどんちゃんの意味がある。
うどんちゃんは、物語のメインキャラではないのでなんか性格の明るい幼馴染として、描かれているが
実はくくると同じように苦労をしている事をほのめかすシーンがある。
それが、この18話の後半で
うどんちゃんが自分の考えた料理がやっと認めらてメニューに載る事になった旨を朱里に報告した電話のシーン
「好きな事を仕事にしている人って色々あるんですね
好きな事を仕事にしている人ってみんな楽しいんだろうな、って思っていたんですけど
楽しいだけじゃないんですね」
と朱里から言われたうどんちゃんが、
ふと息をついて
「そうだね、結構あるね。つらいことも」
と答えるのだが、そのバストショットの夕日を横から浴びているコントラストが
わかりやすいぐらいくっきり描かれているのだ。
しかも、影の部分多めで。
言葉だけではなくて、好きな仕事をしている人の光と影を映像でもわかるように演出しているのだ。
見れる人は確認してほしい。
多分、描かれていないだけど、うどんちゃんの上司もくくると同じようなパワハラ系だという事を暗喩しているようにも思う。
そう考えると、うどんちゃんが愛おしくなってきますね。
会社員にほんのりとした希望をもらえるストーリー
明るいアニメキャラもパワハラにあいながら頑張ってるんだなあ、
となんだか感慨深くなりますね。
彼女たちは水族館で働いているけど、
普遍性がある。
18話の終盤
くくるは景品として使うシールを発注ミスしてしまい
当日に用意が間に合わない状況になってしまう。
夏凜は諦めて代替え品を提案するが、
くくるは諦めきらず、
それでは魚の種類が違うから言って自分でシールを作る、と言い出すのだ。
夏凜も熱意にほだされ、残業して頑張ろうと言い出す。
それを見ていたバイトの朱里は友達と約束があるからと定時でいったん帰ってしまうのだが
友達からの約束キャンセルのラインが届き
ふと考えて、自分の意思でくくる達の元へ戻り、
シール作成の作業を手伝うことになる。
そして、ラストでそのシール「ヨスジリュウキュウスズメダイ」が実際泳いでいる姿を見て
「かわいい」と心が動くのだった。
多分今回の話では、朱里の一人のシーンは意識して日陰やら陰やらで、トーンを落として描かれていた。
光を用いた映像の演出としては基本中の基本なんだろうけど、やっぱり意識して見るとちゃんとやっているんだなあ、と思う。
そして、やる気っていうのは、バイトであるとか職員でないとかという部分に視点を重視していると失われがちになってしまうんですよね。
岡田斗司夫の動画でも
楽しい仕事は何時間でも続けられるから、労働時間的にブラック企業になりやすいって言ってたしなあ。笑
演技も演出も丁寧だし
地味の面白いですよ、白い砂のアクアトープ。
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